ダージリンの茶園に勤めて

ダック茶園と私の思い出

ネハ・ロチャン
ロチャン・ティー・リミテッド

インドに於いてお茶は、消費量の多い生活必需品で、お茶を飲まずして素晴らしいアイディアは浮かばないとまで考えられています。地域ごとにバラエティ豊かなチャイが来客にもてなされ、この習慣は、インドに深く根付いた伝統と言えます。

様々な嗜好が満たされるのは、多くの茶園がある故で、その一つにダック茶園があります。自然に囲まれた家族経営のダック茶園は、ビハールというインドの東部にあります。設立後、長い歴史があるわけではありませんが、認知度は確実に上がっています。耕作と茶作りは、私達の天職で、興味深く、常に最良を尽くそうと努力しています。私達の作業を愛している一方で、時に単調さを感じることがあると認めざるを得ません。しかしながら、その単調さの例を除けば、他のいかなる仕事の領域にもない楽しさがあります。
インドのこの一帯には象が生息し、夜間に茶園の道を歩く象に出くわすことも決して珍しいことではありません。リラックスして散歩をしていたら、猛獣の群れに遭遇し、非難する場所ははるか遠いという場面を想像してみてください。安全な距離から静かに、その神聖な姿を眺められる状況ではないのです。

過去にはこんなこともありました。子牛が用水路を渡り切れずに落ちてしまい、母の牛は助けようと必死でしたがうまくいきませんでした。そんな時には、森林局の職員が、群れをかき分けてなんとか子牛を救出しました。たいていの場合、象が住み込みの職員の居住地に近づき過ぎると、クラッカーを焚いたり、ドラムを叩いたりする最後の手段にでます。これまで万が一の場合が一度もなく、長らく人間と動物は平和に共存してきています。

ラジブ・ロチャン
ロチャン・ティー・リミテッド

ダックティーは、20年ほど前にビハールに誕生した茶園である。しかしながら、ビハール州政府は、乾燥した北東の端の「パーバンチャル」から、北西の端の水の豊富な「パンジャブ」というエリアにかけて、人の移住を阻止したいと願っていた。
近隣のベンガルには新しい茶園モデルが採用され、インド紅茶局からは”非伝統的な茶栽培地帯”と認定され、1998年以降小さな茶農家が次々と誕生した。

小さな茶農家は、研究を重ねることで、手揉みのオーガニックティーを作った。ダックティーは2016年には静岡のお茶まつりで銀針を出品し、金賞を受賞した。お茶の評価が上がり、高値で取引されることにより、小さな農園で働く奴隷制の労働モデルは、健康的な茶農家へと変わっていく。

ビハールは釈迦の土地として知られ、釈迦は眠気を覚ますために自分の眉を抜き、ダック川の土手に投げ捨てたと言われている。その土手の一面には、お茶の樹がすくすくと育っている。

訳 Miwa YAMAUCHI